群発頭痛
頻度は⇒ 年1〜2回の頭痛
痛みは⇒ 激痛でじっとしていられない、転げ回る
薬は⇒ 内服はほとんど効かない⇒イミグラン点鼻、イミグラン皮下注が有効
季節の変わり目などに起きやすい。
頭痛は目の奥を中心に、地震が繰り返し来るように生じます。
一日に1~8回、15分~3時間、痛みが繰り返し起こる頭痛です。群発発作は1〜2ヶ月位、一定期間続きます。
その後比較的長い寛解期があります。寛解期は数ヶ月~数年、人によって異なります。
好発年齢は20〜40歳代の男性に多く、最近は女性も増えつつあります。
治療
以下は参考資料です。
特徴は・・・
発作は、就寝時の午後9時頃や就寝して数時間後の深夜1時頃に起き、目の奥がえぐられるような激痛で目が覚めます。片頭痛は痛みのために横になって動けなくなりますが、群発頭痛は激痛のためじっとしておられず、イライラと動き回ることが多い。動き回ることによって、目の奥にある海綿状脈動のうっ血が消退しやすいためと考えられています。
群発頭痛は発作の周期が1、2年ごとといった年単位で起きます。日照時間が短い冬に発作が起きやすいと言われています。季節を超えて夏に起きることもあります。
飲酒や入浴で頭痛が誘発されるため、群発期間中はお酒を控えてください。お風呂は避け、シャワーをお勧めします。
特に群発頭痛は激しい痛みで日常生活、仕事上でかなりの支障をきたすため、どうして自分だけこんな辛い思いをしないといけないのかと思われる方が多いようです。しかし、群発頭痛の方は性格が几帳面で実力があり、スキルが高いため企業家が多く、プラスの面もあるのです。
群発頭痛と片頭痛の区別は…
・それほど難しくはありません。
・区別は問診が決め手です。
片頭痛 | 群発頭痛 | |
頭痛の頻度 |
月に( )回 週に( )回 |
年に( )回 ( )年に1回 字の通り、片頭痛発作が群発する |
痛みの程度 |
じっとしていたい 寝込む |
じっとしていられない ウロウロ・イライラ・頭を抱えて転げ回る 痛みに耐えられず興奮し家族に当たり散らす 「首から上を取って欲しい」という |
痛み以外の特徴 |
光・音・臭い過敏 目の前にチカチカ光が出る |
光・音・臭い過敏 目の前にチカチカ光が出る 自律神経症状が比較的多い 流涙・鼻水・目の充血・顔の紅潮など |
痛みの増悪因子 | 運動、入浴、飲酒、喫煙 | 飲酒、入浴、運動 |
社会生活への支障 | 我慢して仕事に行くことができる | 痛みに耐えられず仕事を休むことが多い |
頭痛性格 | 几帳面・生真面目 |
全てにおいて活発・社会的に有能な方が多い。 比較的身長が高い おでこが張った特有な顔貌 |
群発頭痛・片頭痛治療薬イミグラン皮下注
→スマトリプタンコハク酸塩注射液
自己注射によって、効果を発揮するキット製剤です。
コンパクトで持ち運びも便利です。
長期保存(約3年間)も可能です。
自己負担額(再診料・管理料等は除く、薬剤費のみ) | |
3割負担 1,760円 | 1割負担 586円 |
在宅自己注射の指導を受け、練習期間後、スターターパックを受け取り、1カートリッジパック(2本)を処方 |
群発頭痛と発作性片側頭痛の区別は…
発作性片頭痛は群発頭痛によく似た症状なので、群発頭痛との鑑別はとても大切です。特徴を列記します。
・片側の目の奥が激しく痛み、目が十傑充し、涙が止まらなくなる。
・痛む回数は、群発頭痛(日に5回1~8回)に比べて、日に5回以上と多い。
・群発頭痛よりも発作頻度が高い。痛む時間は、群発頭痛(15分~3時間)に比べて短く、20分程度。
・群発頭痛は男性に多いが、発作性片側頭痛は女性に多い。
・治療薬は、片頭痛・群発頭痛に効くイミグラン点鼻薬、イミグラン皮下注射は効かないか効きにくい。
・インドメタシンカプセルが有効。別名インドメタシン反応性頭痛とも言われています。
群発頭痛と持続性片側頭痛の区別は…
持続性片側頭痛は群発頭痛の慢性したものとも考えられていますが、詳細は不明な点が多いです。国際頭痛分類第3版に、大部分は非寛解型と明記されているように治りにくい頭痛です。インドメタシン反応性頭痛です。30歳前後の女性に多い印象があります。鼻閉・鼻漏で耳鼻科治療を受けている人が多い印象があります。インドメタシン、リオレサール、時にデカゾロン錠を使います。
群発頭痛と短時間持続性片側神経痛様発作 SUNCT の区別は…
男性に多く、目の奥のさすような強い痛みが目の奥から側頭部に生じます。目の充血や鼻閉など、自律神経症状を伴うところは、群発頭痛と類似しています。頭痛の回数は、日に3~200回、頭痛の持続時間は、概ね3分以内、数秒のこともあります。まれな病気のようで、私は未だ経験したことがありません。SUNCTとは、Short lasting unilateral neuralgiform headache attacks with conjunctival injection and tearingの頭文字をとったものです。
可逆性脳血管攣縮症候群:RCVS
脳の局所的な血管攣縮によって激しい頭痛をきたす病気です。患者さんの多くは、雷が落ちたような激しい頭痛を訴えます。雷鳴頭痛の中にRCVSが多数を占めているためです。
脳血管の攣縮が局在的な場合は、1週間以内に治まります。局在の血管攣縮が求心性に移行した場合、10日前後と長引きます。可逆性という名の通り、その血管攣縮のほとんどは、後遺症なく軽快します。問題は、RCVSの大半は、50~80%の高率で片頭痛の既往を持っていることです。過去に片頭痛の治療を受けた病院へ雷鳴頭痛で受診すると、血管攣縮をさらに悪化させるトリプタン製剤を使われることがあります。激しい頭痛のため、応急的にイミグラン皮下注や酸素吸入など、血管収縮作用のある処置を受けると、一気に病状が悪化します。イミグラン皮下注が効かない、酸素吸入が無効である、この時点で、群発頭痛を否定すべきです。イミグラン点鼻が効かないとなれば、RCVSと発作性片側頭痛を疑うべきなのです。救急を取り扱う病院では、この間違いは少ないのですが、一般の診療所では時に間違うことがあるので、注意すべき病気です。
国際頭痛分類第2版までは、良性アンギオパチーによる頭痛に含まれていましたが、国際頭痛分類第3版では、可逆性脳血管攣縮症候群として新しく分類され、診断基準も明記されました。
以上、可逆性脳血管攣縮症候群はいまだ不明な点も多く、今後その病態が解明されていくものと考えられます。
もう一度まとめると…
1.突然の激しい雷鳴用頭痛を繰り返す。1週間以内、または2週間以内、1ヶ月以内に終息する。
2.若い女性、閉経前後の女性、片頭痛の既往がある人がほとんど。
3.初回のMRI検査では、数珠状所見の描出されない場合があります。繰り返し画像検査が必要です。当院の経験では、円蓋部の皮質下に小さい脳出血やクモ膜下出血を経験しています。
4.誘因はある場合も、ない場合もあります。当院では、ラブホテルから、入浴シャワー中、排便、くしゃみなどの後に発症し、救急搬入されています。
5.治療は、カルシウム拮抗剤と十分な補液、ステロイドは原則使用していません。雷鳴頭痛で緊急搬入される患者さんには、内頚動脈・椎骨動脈解離、静脈洞血栓症、下垂体卒中、クモ膜下出血などがあり、慎重な鑑別が必要です。
私の若い頃、MRI画像診断はまだなかった時代、血管造影検査による病状悪化例がありました。この中に、可逆性脳血管攣縮症候群と思われる患者さんを経験したことを思い出します。当時は、出血源不明のクモ膜下出血として2週間入院、絶対安静として様子を見ていた時代が、懐かしく思い出されます。 雷鳴頭痛や入浴関連頭痛など、二次性頭痛が隠れており、神経内科医より脳神経外科医が頭痛外来を担当した方が無難と思っています。ましてや、頭痛診療の経験のない一般診療所では、頭痛は扱わない方が無難とも思っています。 頭痛についての話は尽きません。十数年前、イビキ無呼吸外来を始めて、いくら調べても原因は明らかでない一次性頭痛として、OSAS頭痛が結構あることに気がつきました。以来、頭痛とイビキ無呼吸、両方を持つ患者さんには積極的に歯科へ紹介し、OA(マウスピース)治療を勧めています。診療が忙しく、イビキ治療の後、どの程度頭痛が軽減しているのか、十分な資料が取れていないことを残念に思っています。網膜片頭痛単眼性視力障害を生じる病気で、国際頭痛分類第3版βでは、前兆のある片頭痛のサブホームに組み入れられました。網膜片頭痛RMの原因として、血管攣縮の可能性があり、トリプタン製剤の使用は控えるよう明記されています。
網膜片頭痛
単眼性視力障害を生じる病気で、国際頭痛分類第3版では、前兆のある片頭痛のサブホームに組み入れられました。網膜片頭痛RMの原因として、血管攣縮の可能性があり、トリプタン製剤の使用は控えるよう明記されています。