ナルコレプシー narcolepsy

Aさんは、日中の耐え難い眠気に困っています。昼間の眠気、ナルコプレシーとはどんな病気なのでしょうか。…

Aさん:16歳の女子高校生です。前夜の睡眠が比較的よく取れた日でも、日中耐え難い眠気に困っています。授業中に突然寝てしまうため担任の先生に叱られます。

 

大田医師:耐え難い眠気は、毎日起きますか。

 

Aさん:ほぼ毎日何回も睡魔が襲ってきます。

 

大田医師:昼間の眠気の時間はどの位ですか。

 

Aさん:数分寝るときもあれば、10分少し眠ることもあります。自転車で通学中、数秒眠ってはっと気がつき、事故になりそうになったこともあります。

 

大田医師:爆笑したとき、驚愕したとき、体の力が抜けることがありますか。

 

Aさん:足に力が入らなくなり、膝がガクガクします。言葉がもつれて、声が出なくなることがあります。

 

大田医師:夜の睡眠はどうですか。

 

Aさん:勉強することがたくさんあり、十分な睡眠は取れていません。

 

大田医師:寝入りばなに怖い夢を見たりしますか。

 

Aさん:時にあります。怖くても声も出ません。逃げることもできません。とても怖いです。

 

Aさんのご両親:学校の成績も気になり、本人を今日は連れてきました。

 

大田医師:年齢、症状からナルコレプシーとよぶ病気が疑われます。検査をしてみましょう。

 

Aさんのご両親:簡単な検査でしょうか。検査料は高いのでしょうか。検査を受ければ診断がつきますか。

 

大田医師:睡眠の中身と質を見る終夜睡眠ポリグラフ検査、日中の眠気の強さを測る睡眠潜時反復検査は必須です。補助的な遺伝子検査は全額自己負担です。白血球による遺伝子検査のうちHLA-DR2は18,000円、DQB1は21,000円、両方の検査が必要で39,000円かかります。

 

Aさんのご両親:検査の結果、ナルコレプシーとの診断をいただきました。娘の今後の治療について教えてください。

 

大田医師:まずすることは、夜の睡眠障害を是正することです。次に、精神賦活剤の効果をみます。

 

Aさんのご両親:具体的にはどのような治療でしょうか。

 

大田医師:精神賦活剤として作用時間の長いペモリンと作用時間の短いメチルフェニデートの2種類の組合せを使って治療します。長期連用の問題以外に副作用は少ないです。

 

Aさんのご両親:おかげさまで昼間の眠気はすっかりなくなりました。長期内服が必要とのことなのでお話の中にあった規則正しい生活に心がけ睡眠日誌をつけさせます。また、ストレスを減らすためにあまり無理のない進路を娘と相談させてください。

 

大田医師:ナルコレプシーは、治療により学業成績は向上し、仕事の効率が上がり、車の運転も安全です。NPO法人日本ナルコレプシー協会のホームページは参考になります。

 

Aさんのご両親:ありがとうございました。